樹脂成形 外観検査AIが抱える3つの詰まり
1. 不良が多面にまたがって発生する
樹脂成形品は表・裏・側面・ゲート面・パーティング面と、検査すべき面が最低3〜5面に分かれます。ヒケは厚肉部の反対側、ウェルドラインは溶融樹脂の合流点、バリはパーティング面、ゲートマークは切り離し面——不良の種類と発生面の組み合わせが複雑で、1方向のカメラだけでは撮り切れません。多面同時撮像、または搬送中の回転撮像が物理的に必要になります。
2. 型替え頻度の高さで立ち上げ期間が採算に合わない
射出成形機は型替えが日常です。同じ機種でも色違い・仕様違いで型を入れ替え、1ロットが数時間〜1日で切り替わる現場が多い。「新しい成形品の検査立ち上げに1週間」では型が先に変わってしまい採算割れします。型替えと同期して検査モデルも切り替えられる設計、つまりPLC信号連携と現場側の学習UIが前提になります。
3. 光沢ABS・透明PC・黒PP——素材ごとに光学条件が別物
樹脂は素材によって光学特性が大きく変わります。光沢ABSは照明が飽和しやすく偏光が必須、透明PCは背景が透けるためバックライト・偏光の組み合わせ、黒PPは微小段差がコントラスト不足で斜光照明と高解像度が要る。1種類の照明とカメラで全素材をカバーする発想は成立しません。素材ごとに光学設計を変える前提で組む必要があります。
従来構成との違い
Nsight の解決アプローチ
Nsightの樹脂成形ソリューションは、光学系・推論系の2層を一体設計するのが核心です。成形業界では「光学設計だけ」または「AI だけ」を切り出した構成が多く、素材差や型替えに対応しきれないケースが散見されます。Nsightは元キーエンス画像処理事業部出身の開発エンジニアが技術顧問として光学設計を主導し、AI部分と連動させることで、素材差と型替え頻度の両方を吸収する設計にしています。
多面同時撮像の光学配置
表裏・側面を1ステーションで撮るため、多カメラ配置、回転搬送、反射ミラーの3パターンを現場のライン制約に合わせて選択します。既存コンベアを大きく改造せず、1ポイントに検査ステーションを追加する形を基本とし、搬送系の改造を最小化します。
型替え信号のPLC連携
成形機や上位PLCから型番号を受け取り、検査モデルを自動切替します。型替え直後の立ち上げ待ち時間をゼロに近づけ、成形機のサイクルタイムに検査が追随する構成です。新型の検査モデル追加は現場オペレーターがブラウザ学習UIから数十枚のサンプルで登録できます。
素材別光学設計(光沢ABS・透明PC・黒PP)
光沢面は偏光フィルタ+同軸落射、透明素材はバックライト+偏光、黒色素材は斜光+高解像度カメラを組み合わせます。Nsightは検査ステーションを素材カテゴリ単位で再利用可能にし、同じ筐体内で照明モードを切り替える構成にすることで、素材混在ラインの運用負荷を下げています。
精度を担保するための条件
精度が出やすい条件
- 型番号が PLC から取得できるインライン検査ステーション
- 本番ライン前に型ごとに良品サンプルが数十枚以上ある
- タクトタイムに数百ミリ秒の余裕がある(成形サイクル秒単位なら十分)
- 照明とカメラ位置を固定できる据置き構成
- 素材カテゴリ(光沢・透明・黒色)がある程度分かれている
難易度が上がる条件と対応策
- 透明・半透明樹脂(バックライト+偏光で対応)
- 鏡面光沢(偏光フィルタ+同軸落射で対応)
- 黒PPの微小段差(斜光照明+高解像度カメラで対応)
- 型替え頻度が極端に高い(モデル自動切替で対応)
- 新型サンプル不足(VLMによるNG画像生成で学習補完)
従来構成との費用構造比較
| 項目 | 従来構成A | 従来構成B | Nsight |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 中 | 非常に高い | 中 |
| 学習データ準備 | 不要(閾値調整) | 1型数千〜1万枚 | 型あたり数十枚〜 |
| 型替え対応工数 | エンジニア数日〜 | ベンダー1〜数ヶ月 | PLC自動+現場登録 |
| 素材切替 | 光学系やり直し | 別ライン | 筐体内モード切替 |
| 既存ライン併用 | — | 基本不可 | 後付けステーション化 |
参考にできる導入事例・関連情報
導入までの4ステップ
樹脂成形は素材差と型替え頻度の両方を事前に確認するため、画像受領時に素材・型数・タクトをヒアリングしてから進めます。
画像受領・素材確認
成形品サンプル画像と、対象素材(ABS/PC/PP等)・型数をお送りください。無料で精度見込みをお返しします。
素材別PoC 2〜4週間
素材に応じた光学構成(偏光/同軸/斜光)の試験撮像と、CNN+VLM補完での精度評価。素材混在ラインは段階的に検証します。
本番組込 4〜8週間
ライン組込み、成形機・上位PLC連携、型番号による検査モデル自動切替の動作確認まで。
運用・型替え自動化
新型はブラウザ学習UIで現場登録、既存型はPLC信号で自動切替。Nsightは精度監視と重大変更時のみサポート。
