スクリーン損傷検査事例
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Industry:電子機器・精密機器Type:外観検査・微細欠陥

スクリーン表面の微細損傷を全数検出

国内大手精密機器メーカー様のスクリーン外観検査工程に、0.1mm級の微細キズ・変色・異物を検出するAI画像検査システムを導入。ガラス面反射・透過光ノイズへの光学設計と、変化の少ない欠陥パターンに対応するVLM教師データ生成を組み合わせ、目視検査では見逃されやすい微細欠陥の全数検出を実現しました。

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導入の背景と課題

微細欠陥は「見落とし前提」の運用になりがち

本事例は、国内大手精密機器メーカー様におけるスクリーン(ディスプレイパネル/保護ガラス/センサー窓)の外観検査工程です。スクリーン製品は表面の微細なキズ・打痕・変色・異物付着が最終製品の品質を大きく左右しますが、検査現場では以下の構造的な課題を抱えていました。

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0.1mm級の欠陥は目視で疲労性の見落としが起きやすい

人間の視覚は微細欠陥を連続検査していると疲労により検出精度が劣化します。特にコンマ単位の欠陥は、集中力が切れた瞬間に見逃しが発生しやすく、抜き取り検査では流出リスクを抑えきれません

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ガラス面・光沢面の反射と透過光が撮像を妨げる

ガラスやコーティング面は光の当て方で見え方が激変します。同じ欠陥でも照明条件が少し違うだけで「見える/見えない」が分かれるため、撮像条件の再現性が検査精度を決めます

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欠陥発生頻度が低く、教師データが貯まらない

高品質な製造ラインほど不良品の発生率は低く、AI学習に必要な不良画像のサンプル収集が難しい状況でした。従来のディープラーニングでは、数ヶ月〜1年単位でデータを蓄積してから学習開始せざるを得ないケースもありました

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欠陥の多様性

キズ・打痕・点欠陥・ムラ・異物付着など、欠陥種類が多岐にわたり、それぞれ見え方が違うため、ルールベース画像処理では個別にしきい値を調整する負担が大きくなっていました

経済産業省「ものづくり白書」が指摘する通り、電子機器・精密機器業界は品質基準が年々厳格化しており、同時に検査工程の自動化・省人化が求められています。全数検査と高速化を両立する仕組みが、競争力維持の前提条件になりつつあります。

出典:経済産業省「2023年版ものづくり白書」第2部 ものづくり基盤技術の現状と課題
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/

Nsightのアプローチ

光学設計+VLM教師データ生成の2段構え

スクリーン検査の難しさは、AIモデルの性能以前に入力画像の品質で勝負が決まります。どれだけ高性能なAIでも、欠陥が写っていない画像からは判定できません。Nsightは元キーエンス画像処理事業部で培った光学設計ノウハウを最大限に活かし、まず「欠陥が必ず写る撮像条件」を構築した上でAI判定を行う2段構えのアプローチを採用しました。

実機の検査画面(イメージ)

スクリーン全面を格子状に分割して判定し、欠陥位置を可視化します。欠陥種類別のラベル(Scratch/Dent/Stain等)も同時出力。

NSIGHT EDGE / SCREEN-INSPECTION
TOTAL: 384 OK: 381 NG: 3
OK
A1
OK
A2
OK
A3
NG
Scratch 0.12mm
OK
A5
OK
A6
OK
B1
OK
B2
NG
Dent 0.18mm
OK
B4
OK
B5
OK
B6

※実機画面のイメージです。欠陥の種類・サイズ・位置を個別ラベリングし、後工程の原因分析データとして活用できます。

導入効果

BEFORE
目視+抜き取り検査
疲労性の見落としリスクを抱えながら、抜き取り検査で流出リスクを完全に抑えきれない状態。欠陥パターンの蓄積も属人化していました。
AFTER
0.1mm級を全数検査
高解像度カメラ+多方向照明+VLM教師データにより、0.1mm級の微細欠陥を全数検出。欠陥種別・位置を個別出力することで、工程改善のエビデンスデータとしても活用できるようになりました。

検査方式の比較:スクリーン微細欠陥検査

観点 目視検査 ルールベース
画像処理
汎用AI
(Deep Learning)
Nsight Edge
0.1mm級検出力 疲労で見落とし 照明次第 学習量次第 光学設計で担保
ガラス面反射対応 角度を変えて対応 条件依存で不安定 学習が進みづらい 多方向照明で制御
欠陥データ不足への対応 データ蓄積に数ヶ月 VLMで教師データ自動生成
欠陥種別の分類 検査員次第 定義しきれない 可能 マルチクラス判定
全数検査 現実的に困難 可能 可能 0.2秒/個で実現
検査結果のデータ化 手動記録 個別実装 可能 標準出力

技術的ポイント:微細欠陥を「見える化」する光学設計

同軸落射照明 × 斜光 × 背面照明の使い分け

透明ガラスや光沢面での欠陥検出には、照明方式の使い分けが決定的です。同軸落射照明は正反射を利用して表面のキズや打痕を強調し、斜光照明は低い角度から光を当てて表面凹凸の陰影を作り出します。さらに透明ガラスの場合は背面照明を組み合わせ、透過光中の異物・気泡を浮き上がらせます。Nsightでは検査対象・欠陥種類ごとに最適な組み合わせを設計し、複数照明条件で同じ対象を多角的に撮像する「多方向撮像」を標準構成にしています。

反射光ノイズの抑制

光沢面の最大の敵は正反射によるハイライトです。強いハイライトが画像に乗ると、その領域の情報は失われ、欠陥があっても検出できません。Nsightは偏光フィルタをカメラ・照明の両方に配置する交差偏光の手法で、正反射を物理的にカット。これにより、光沢面でも欠陥部分のコントラストを保ったまま撮像できます。

VLM教師データ生成による「データが少ない問題」の解消

高品質ラインの逆説として、「不良が少ない=AI学習データが少ない」という問題があります。従来AIの場合、各欠陥カテゴリで数百〜数千枚の教師データが必要なため、データが揃うまでに数ヶ月〜1年を要するケースも珍しくありません。NsightはVLMに「この製品のキズはこういう見え方をする」という知識を持たせ、良品画像から仮想NG画像を自動生成することで、現実の不良データが少ない段階でも学習を開始できます。現場で実際に発生した不良は随時追加学習に利用され、時間が経つほど精度が上がる設計です。

欠陥の種類別分類でデータを「改善のエビデンス」に

NG/OKの二値判定だけでは、工程改善に活用できる情報が不足します。Nsight Edgeでは欠陥種類別のマルチクラス判定を行い、キズ・打痕・点欠陥・ムラ・異物といったカテゴリ別に発生頻度・位置・サイズを記録。これにより「特定の工程で異物付着が多い」「特定のロットで打痕が多い」といった原因分析が可能になり、工程改善のループを回せるデータ基盤として機能します。

開発エンジニアからのコメント

ENGINEER VOICE — 嶋野(元キーエンス画像処理部門 開発)

「スクリーン検査で難しいのは、AIではなく光学です。良品画像と不良画像を並べても、照明が違えば人間でも判定できないケースが多々あります。『この欠陥を見つけたい』という現場の要件を、『この照明条件で撮れば欠陥が見える』という具体的な光学仕様に翻訳する作業──ここがキーエンス時代に徹底的に仕込まれた部分で、NsightではこれをVLMと組み合わせることでさらに強力になりました。良い画像を撮る設計力と、少ないデータで学習させるVLM、この2つが揃って初めて、電子機器・精密機器の微細欠陥検査は現場に乗ります。」

ソリューション詳細
多品種外観検査AI|VLMで学習コストを削減

よくある質問

カメラ解像度と検査対象サイズのバランスで決まります。0.05mm級の検出が必要な場合は、高分解能カメラと複数回撮像(ステッチング)を組み合わせる設計が可能です。要件に応じて個別設計します。
はい。VLMが良品画像から仮想NG画像を自動生成するため、不良サンプルの蓄積を待たずに運用開始できます。現場で発生した実際の不良は随時追加学習に利用し、精度を継続的に高めていきます。
光学設計は変わりますが、AIエンジン自体は共通です。ガラスは交差偏光+同軸落射照明、樹脂は斜光+ドーム照明を基本とし、対象の光学特性に応じて設計します。
欠陥種類・位置・サイズ・タイムスタンプを標準出力します。CSV・データベース・API連携に対応しており、既存のMES/ERP・品質管理システムと統合可能です。

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