サービス概要
Nsightの設備稼働可視化システムは、AIカメラと画像認識技術を用いて、生産ラインの個数・稼働率・停止要因をリアルタイムで計測・可視化するソリューションです。従来のIoTセンサーやPLCの数値データだけでは見えなかった「なぜ止まっているか」「どこがボトルネックか」まで、映像+数値の両輪で把握できるようにします。
工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しい一方で、中堅・中小規模の製造現場では「稼働状況を日次で紙に書いている」「生産数は月末の棚卸で初めてわかる」という運用が、今も珍しくありません。その主因は、既存設備の多くがIoT対応していないこと、そして本格的なMESやSCADAを導入しようとすると数千万円規模の投資が必要になることにあります。
Nsightは元キーエンス画像処理部門出身のエンジニアが、カメラ・照明・エッジ推論ボックス・PLCインタフェースを一体設計。既存設備に追加のセンサを取り付けず、カメラを1台設置するだけで、ライン稼働の可視化とデータ蓄積を始められる構成を標準としています。特に中堅・中小規模の工場でありがちな「MESを入れるには重すぎるが、Excel運用は限界」という中間層に、最もフィットするポジションを取っています。
計測できる3つの領域
個数・生産数カウント
AIカメラが通過する製品を自動カウント。撮影するだけで即時計数、月末手棚卸から解放されます。
稼働率・停止要因分析
ライン停止をリアルタイム検出。停止原因(ワーク待ち・オペレータ不在・故障)を映像とともに記録し、改善点を特定します。
PLC・MES連携
読み取り結果を既存のPLC・MES・BIツールに送信。既存システムを壊さずに、データ基盤を一段強化します。
個数カウントの実例
AIカメラによる個数カウントは、本システムで最も多く引き合いをいただく用途です。食品・飲料・医薬品・金属加工・プラスチック成形など、幅広い製品に対応します。撮影したその瞬間に個数が数値化されるため、ライン速度のまま計測を続けながら、数値とログを取り続けることが可能です。
個数カウントが業務に与えるインパクトは、単に「数を数える作業を機械に置き換える」以上のものがあります。現場の経験豊富なオペレータでも、高速で流れる製品を目視で数え続けるのは疲労蓄積や見落としの原因になります。AIカメラで24時間安定した精度のカウントが実現すれば、オペレータは数える作業から解放され、より付加価値の高い品質判定や改善活動に時間を使えるようになります。


上記のような用途では、従来のセンサー式カウンターでは難しい「ランダムに積み重なった山積み状態」や「一瞬で通過する高速流れ」にも、画像認識ならば対応できます。ルールベースの画像処理+従来AI(CNN)を組み合わせた構成で、0.2秒/個レベルのラインスピードに追従しながら、カウント精度を維持します。
稼働率・停止要因分析の具体例
稼働率の数値だけを追っていても、現場改善の糸口はつかみにくいものです。Nsightの可視化システムでは、ラインが停止した瞬間の映像ログを自動記録し、後から「なぜ止まったか」を映像とともに振り返れるようにしています。
例えば、以下のような停止要因の自動分類ができます。
- ワーク待ち(前工程からの供給が追いつかない)
- オペレータ不在(配置換え・休憩・離席)
- 段取り替え(品種切替に伴う一時停止)
- 異常停止(機械故障・品質NG・エラー発生)
- 計画停止(休憩時間・点検・清掃)
これらを自動分類することで、「ムダ・ムラ・ムリ」のどこに真のボトルネックがあるかが、数値とともに可視化されます。トヨタ生産方式の「見える化」を、カメラとAIで一段高い精度で実現するイメージです。改善活動のPDCAサイクルが回り始めると、同じ設備・同じ人員でも稼働率が10〜15%向上する事例は珍しくありません。
PLC・MES連携の実務
製造業のDXが進まない大きな理由のひとつは、「新しい仕組みを入れると、既存のPLCやMESとの整合性が壊れる」という現場の不安です。Nsightのシステムは既存PLC・MESに対して「読み取り専用」の関係から始められるように設計されています。
具体的には、画像認識で取得したカウント数・稼働状況をPLCに書き込まず、別経路のAPI・CSV・MQTT等で送信する構成を標準としています。これにより、既存の生産制御系に影響を与えることなく、データ蓄積と可視化だけを先行させられます。効果が確認できた後、双方向連携(例:異常検知したら既存PLCへ停止信号を送る)に拡張していくのが、現場に負担をかけない進め方です。
実際の監視画面とダッシュボード
計測したデータは、クラウドまたはオンプレサーバー上のダッシュボードでリアルタイム可視化されます。工場長室の大画面モニター・管理室のPC・現場のタブレット・外出先のスマートフォン、それぞれの権限と用途に合わせてデータを閲覧できます。
ダッシュボード画面では、以下のような情報をひと目で確認できます。
リアルタイム指標
稼働率、現在時点の生産数、ライン速度、停止時間、直近の停止要因。画面更新は数秒単位で、現場の「今」をダイレクトに把握できます。
傾向分析レポート
日次・週次・月次の稼働推移、時間帯別のボトルネック、品種別の生産効率。改善活動の判断材料として、経営・製造本部レベルでの意思決定に使えます。
システム構成と既存設備との連携
Nsightの設備稼働可視化システムは、以下の4層で構成されます。既存のPLCやMESを置き換えるのではなく、「上に重ねる」形で導入するため、既存の運用フローを崩さずに導入できます。
| レイヤー | 構成要素 | 役割 |
|---|---|---|
| 撮像層 | エリア/ラインカメラ、LED照明、通過センサ | 製品の画像を継続的に取得し、エッジAIに受け渡す |
| 推論層 | NVIDIA Jetson AGX Orin、画像処理エンジン | 画像からカウント・停止検知・品質判定をリアルタイム実行 |
| 連携層 | PLC/MESインタフェース、APIゲートウェイ | 既存設備・システムと双方向でデータをやり取り |
| 可視化層 | クラウド/オンプレダッシュボード、通知システム | 経営・現場・保全が使う形でデータを可視化・通知 |
クラウド版・オンプレ版のいずれも選択可能です。機密性の高い工程や、社外へのデータ送信が制限される業界ではオンプレ版を、グループ拠点横断での可視化を行いたい場合はクラウド版を、それぞれ推奨します。必要に応じて両者のハイブリッド構成(現場はオンプレ、集計のみクラウド)にも対応します。
導入効果(代表値)
以下は過去の導入実績から抽出した代表的な効果です。実際の効果は対象ライン・計測対象・改善活動の深さによって変動しますので、PoC段階で現場条件に即した見込み値を算出してご提示します。
生産数把握の即時化
月末手棚卸→リアルタイム把握へ移行。管理者の集計工数は月あたり数十時間レベルで削減される事例が多くあります。
停止要因の可視化と改善
「なぜ止まったか」を映像ログで振り返れるようになり、改善活動のPDCAが回り始めます。稼働率を5〜15%改善した事例も。
設備投資判断の精緻化
ライン別・時間帯別のボトルネックが見えるため、「どこに設備投資すべきか」「どの工程を増強すべきか」を定量判断できます。
遠隔管理・多拠点運営
工場長が現場に常駐しなくても、ダッシュボードで状況把握が可能に。多拠点展開している企業では、経営層の意思決定スピードが上がります。
こんな現場におすすめです
食品・飲料工場
高速ラインの個数カウント、異物混入検知、停止要因の可視化。HACCP・FSSC準拠運用にも対応。
金属加工・プレス工場
ワーク通過数のカウント、プレス機の稼働状況、段取り替え時間の把握。改善活動の基礎データ化。
化粧品・日用品
充填ライン・ラベル貼付ラインの稼働率計測、品種切替時のロス削減、ラベル印字異常の自動検知。
医薬品・健康食品
錠剤・カプセルの個数カウント、包装工程の停止検知、バリデーション要件を満たすログ取得。
自動車部品メーカー
プレス・ダイカスト・樹脂成形の稼働監視。トヨタ生産方式の「平準化」データ基盤として活用。
建材・資材メーカー
ボード・パネル・型材の生産数計測。屋外ヤードを含む広範囲の稼働を、カメラで俯瞰管理。
関連事例:鋼材バーのリアルタイム検数
個数カウントの代表的な応用例です。撮影した瞬間にAIが金属バーを検知し、数値として即時表示します。棚卸・ヤード管理・積込確認にそのまま応用できます。


このように、AIカメラを設置する目的を「カウントだけ」に限定しないのがNsightの提案の特徴です。同じ撮像系に複数の画像処理ロジックを載せることで、同じハード投資で複数の業務課題を一度に解決できます。
既存のMES・SCADAとの違い
「設備稼働の可視化」は、MES(製造実行システム)、SCADA(監視制御システム)、IoTセンサープラットフォームなど、すでに市場にさまざまな製品・サービスが存在します。Nsightの画像ベースの可視化は、それらと代替関係ではなく補完関係にあります。ポジショニングの違いを整理します。
| カテゴリ | 得意領域 | 課題 |
|---|---|---|
| MES(製造実行) | 生産指示・工程管理・品質管理の統合基盤 | 導入・運用コストが数千万円〜、既存設備への後付けが重い |
| SCADA(監視制御) | PLC・センサー経由の設備監視・制御 | 「数値データ」は取れるが「なぜ止まったか」の文脈が掴みにくい |
| IoTセンサー | 温湿度・振動・電流等の物理量計測 | センサー設置工事が必要、視覚的な情報は取れない |
| Nsight 画像可視化 | カメラ1台からの個数・稼働・停止要因のリアルタイム計測、映像ログ | 照明設計や光学条件の確認が必要(Nsightがサポート) |
Nsightの可視化システムは、既存のMES・SCADAを置き換えるものではなく、それらが取れない「現場の視覚情報」を補完する位置付けです。既存システムのデータ基盤を壊さず、上に乗せる形で追加するため、情報システム部・生産技術部双方にとって導入判断がしやすい構成になっています。
導入の流れ
ヒアリング+現場見学
対象ライン・計測したい項目・既存PLCや設備環境を確認。1日で実施可能です。
PoC設計書の提示
カメラ位置・計測対象・KPI・クラウドorオンプレ・費用感を含む設計書を2週間以内にご提示します。
機器設置+PoC運用
カメラ・エッジ推論ボックスを仮設置。PLC連携テスト・ダッシュボード表示確認まで含めて、1〜2ヶ月でPoCを実施します。
本番運用・横展開
効果確認ができたラインから本番移行。同型設備の他ライン・他拠点への水平展開も支援します。
技術仕様と対応範囲
実際の案件でご質問をいただくことの多い、技術仕様・対応範囲についてまとめます。これ以外の条件でも、現場条件に応じて個別設計が可能ですので、まずはご相談ください。
| 項目 | 標準対応範囲 | 備考 |
|---|---|---|
| カメラ | エリアカメラ/ラインスキャンカメラ/魚眼/ドーム型CCTV | 既存設備への後付け可能。必要に応じて液体レンズも選定 |
| 照明 | バー/ドーム/同軸落射/ローアングル/LED赤外線 | ワークと欠陥種類に応じて最適方式を選定 |
| エッジ推論 | NVIDIA Jetson AGX Orin、Jetson Orin NX、産業用GPUサーバー | ライン速度・同時処理数に応じて選定 |
| PLC連携 | 三菱 MELSEC/キーエンス KV/オムロン/シーメンス等 | 主要メーカー対応。リレー出力/Ethernet/OPC UA |
| データ連携 | REST API/MQTT/OPC UA/CSV出力/DB更新 | 既存BIツール(Power BI、Tableau等)への接続対応 |
| ダッシュボード | Web(PC/スマホ/タブレット)、Grafana連携も可 | 権限別表示、アラート通知、定期レポート出力 |
| データ保存 | クラウド(AWS/Azure)/オンプレ/ハイブリッド | ISO27001準拠の構成も対応可 |
よくある質問
既存のカメラ(防犯CCTV等)を流用できますか?
用途によって可能です。人員・作業員の動き検知や、ラインの停止検知であれば、既設の防犯CCTVの映像をそのまま推論入力に使えるケースが多くあります。一方、細かい個数カウントや微小な欠陥検出には専用のカメラ・照明が必要になります。現場の写真を送っていただければ、流用可否を判断してご提案します。
ライン速度が速すぎて、カメラで追えないのでは?
ラインスキャンカメラと液体レンズの組み合わせで、毎秒数メートルの搬送速度にも対応できます。食品・飲料ラインのような高速搬送でも、リアルタイムでのカウント・計測が実績としてあります。エリアカメラで対応できない速度域でも、設計変更で追従可能です。
工場のネットワークが社内イントラのみで、クラウド接続できません。
オンプレ版の提供が可能です。現場にサーバーを設置し、ダッシュボードも社内イントラからのみアクセスする構成にできます。後日、情報システム部門の判断でクラウド連携に拡張することも可能な設計にしておけます。
停止要因の自動分類は、どこまで可能ですか?
「ワーク待ち」「オペレータ不在」「段取り替え中」「異常停止」といった主要なカテゴリ分類は、VLMと画像ルールの組み合わせで自動化できます。より詳細な要因(どの部品が不足したか、どの装置で異常が発生したか)は、PoC段階で現場の運用ルールに合わせてカスタマイズします。
導入コストの目安は?
カメラ1〜2台構成のスモールスタートで、ハード+ソフト+初期セットアップで数百万円台からです。既存設備の規模・必要なカメラ数・ダッシュボード要件によって変動するため、PoC設計書の段階で精緻な見積をご提示します。IT導入補助金の対象にもなり得ます。
保守・運用はどうなりますか?
定期的な推論モデルのアップデート、ハードウェアの遠隔監視、異常時のサポートまでを含んだ保守契約をご用意しています。現場でよくある「どこに連絡すればいいかわからない」「トラブル時に動いてくれる相手がいない」という問題を、Nsightがワンストップで受けます。
Nsightが選ばれる理由
既存のMESやSCADAは高額・重厚で、中堅・中小製造業では導入ハードルが高いのが実態です。Nsightは元キーエンス画像処理部門のノウハウを活かし、「カメラ1台から始められる軽量な設備稼働可視化」という、既存ソリューションの間を埋める選択肢を提供します。
ハードウェア選定・照明設計・PLCインタフェース設計・画像処理ロジック実装・ダッシュボード構築まで、現場で必要な全てをワンストップで担当。「ソフト担当」と「ハード担当」の間でボールが落ちるSIモデルとは異なり、現場で発生した問題を最短で解決できる構造です。
サンプル画像・現状の設備写真をお送りいただければ、最適な構成と想定効果を無料で評価します。
無料相談を依頼する →