自動車部品の5分類外観検査事例
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Industry:自動車部品Type:外観検査 + 分類判定

自動車部品の5分類外観判定で工程改善へ

国内大手自動車部品メーカー様のスピーカー外観検査工程に、従来の「OK/NG」二値判定を超えた5カテゴリ分類のAI画像検査を導入。キズの種類・原因・工程起因を定量的に把握できるようにし、検査工程を「排除」から「改善の起点」へと転換しました。

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導入の背景と課題

「NGで弾く」だけでは品質は上がらない

本事例は、国内大手自動車部品メーカー様のスピーカー外観検査工程です。スピーカー製品は、車内の音響品質を左右する重要部品で、表面のキズ・打痕・異物付着は商品価値に直結します。従来の検査は目視+ルールベース画像処理を組み合わせ、OK/NGの二値判定で流出を防ぐ運用でしたが、経営視点では以下の課題を抱えていました。

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NG品の原因分析ができない

二値判定では「なぜNGが発生したか」がデータ化されず、工程改善のサイクルが回りにくい状態。NG率の推移はわかっても、「どの工程で」「どういう種類のキズが」発生しているかは、現場の経験知に依存していました

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同じ「NG」でも意味が違う

出荷できない重大欠陥と、手直しで修正可能な軽微キズを区別できないため、すべて同じ不良品として処理されてしまい、歩留まり改善の余地が見えませんでした

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熟練検査員の属人知が継承されない

キズの種類・原因推定は検査員の経験に依存しており、担当者が変わると判定基準も微妙にブレる構造。品質データの連続性が保てない課題がありました

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サプライチェーン全体での情報共有の欠如

自動車部品は多段階のサプライチェーンで製造されるため、どの工程で発生したキズかを追跡できないと、根本原因対策が打てません

経済産業省「ものづくり白書」でも、製造業のDX推進において「検査データの活用による予防保全・工程改善」が重要テーマとして挙げられています。単に不良品を排除するだけでなく、検査データを次の改善アクションの起点にする設計が求められています。

出典:経済産業省「2023年版ものづくり白書」第2部 第2章 製造業におけるDXの推進
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/

Nsightのアプローチ

二値判定を5カテゴリに拡張し、検査を改善データに

Nsightは、従来のOK/NG二値判定を5カテゴリ分類に拡張するアプローチを採用しました。各カテゴリは、発生原因の推定が付いた形で定義されており、検査データをそのまま工程改善のエビデンスとして活用できます。

実機の検査画面(イメージ)

スピーカーユニットの外観画像を解析し、5カテゴリのいずれかで判定。欠陥位置と種類を個別に記録します。

NSIGHT EDGE / SPEAKER-INSPECTION
TOTAL: 245 OK: 231 NG: 14
OK
正常品
231件
C1
軽微キズ
8件
C2
深刻キズ
3件
C3
打痕
2件
C4
異物付着
1件
WORKFLOW OUTPUT: C1(軽微キズ)→ 手直し工程へ / C2(深刻キズ)→ 排出 / C3(打痕)→ 原因工程特定へ

※実機画面のイメージです。カテゴリ定義・ワークフロー連動は顧客の工程特性に合わせてカスタマイズします。

導入効果

BEFORE
OK/NG 二値判定
NG品をまとめて排出するだけで、発生原因の分析は検査員の経験知頼み。軽微キズと深刻キズの区別もできず、歩留まり改善の打ち手が見えにくい状態でした。
AFTER
5分類+原因分析
欠陥カテゴリ別に発生頻度・位置・時系列を可視化。手直し可能な軽微キズは修正ライン、工程要因の打痕は原因工程の対策へと、分類がそのまま次のアクションに繋がる設計になりました。

検査方式の比較:自動車部品の分類判定

観点 目視+分類記録 OK/NG
二値AI
汎用マルチクラスAI Nsight Edge
(VLM+5分類)
分類の細かさ 検査員依存 2値のみ 任意クラス数 5カテゴリ(設計自在)
分類基準の一貫性 属人的にブレる 一貫 一貫 一貫
教師データ準備 OK/NGのみ 各カテゴリ数千枚 VLMが自動生成
工程改善データとの連動 手動記録 2値では不十分 クラス別集計可 ダッシュボード標準提供
サプライチェーン連携 連携困難 NG率のみ データ連携要設計 標準API連携
歩留まり改善への寄与 検査員次第 見えない データ分析可 原因工程まで追跡

自動車業界は品質データの連続性・追跡可能性(トレーサビリティ)が厳しく求められる業界です。Nsight Edgeの5分類判定は、単なる検査の高精度化にとどまらず、サプライチェーン全体の品質データ基盤として機能します。

技術的ポイント:分類判定の設計と運用

5カテゴリの設計が現場の打ち手を決める

マルチクラス分類の精度以前に重要なのがカテゴリ設計です。カテゴリは「AIが判定できる粒度」であると同時に「現場が次のアクションを取れる粒度」でなければ意味がありません。Nsightでは、導入前のヒアリング段階で「この欠陥を検出したとき、現場ではどういうアクションを取るか」を工程責任者と一緒に洗い出し、アクションが分岐するカテゴリを5つに絞る設計を行います。カテゴリが多すぎるとAI精度が落ち、現場も迷います。少なすぎると改善の打ち手が見えません。このバランスを取るのがコンサルティング的な価値の核です。

VLMによる多カテゴリ教師データ生成

5カテゴリ × 多品種 × 十分なサンプル数の教師データを実際に集めるのは困難です。特に「稀にしか発生しない欠陥カテゴリ」は、1年かけても数十枚しか集まらないことがあります。NsightはVLMに「この製品の打痕はこういう見え方をする」「この位置にこういう異物が付く」という知識を与え、カテゴリごとの仮想NG画像を大量生成。実データが少ない段階でもマルチクラス学習を立ち上げられます。

改善ダッシュボードと工程連携

検査結果はNsight Edgeから標準APIで出力され、顧客側の品質管理システム(SQCシステム)・ERP・MES等と連携可能です。ダッシュボードではカテゴリ別のヒートマップ(発生位置分布)時系列推移ロット別発生率を可視化し、品質会議でそのまま使える形にデータを整えています。Nsightはソフトウェアだけでなく、運用ルール設計まで伴走支援します。

自動車業界のトレーサビリティ要件への対応

自動車部品は、IATF 16949 等の品質マネジメント規格に基づくトレーサビリティが求められます。Nsight Edgeの検査データは、製品個体ID・検査時刻・カテゴリ・位置情報を紐付けて永続保存。規格要求に応えつつ、将来の品質問題発生時にも迅速な原因究明ができる設計です。

開発エンジニアからのコメント

ENGINEER VOICE — 嶋野(元キーエンス画像処理部門 開発)

「自動車部品業界の検査は、単に『品質を守る』だけでなく『改善データを残す』という二重の役割を担っています。OK/NG二値判定で止まってしまうと、AIは単なる『目視の置き換え』にしかなりません。分類を1段階増やすだけで、検査データが『排除の記録』から『改善の材料』に変わる。この視点の切り替えが、製造業のAI活用を次のステージに押し上げる鍵だと考えています。キーエンス時代にも同じ思想で検査機を作ってきましたが、VLM時代ではそれがより低コスト・短期間で実装できるようになりました。」

ソリューション詳細
多品種外観検査AI|VLMで学習コストを削減

よくある質問

いいえ、顧客の工程特性に合わせてカスタマイズ可能です。本事例は5カテゴリですが、3〜10カテゴリ程度の範囲で設計しています。現場のアクション粒度に合わせて最適化します。
検査データのトレーサビリティ要件を前提に設計しています。個体ID・検査時刻・判定カテゴリ・位置情報を紐付けて永続保存し、監査対応・根本原因分析に活用できる形で提供します。
可能です。CSV・API・データベース連携に対応しており、主要な品質管理システムとの接続実績があります。個別要件に応じて設計いたします。
Nsight Edgeはオンプレミス完結型の設計です。検査画像・結果は顧客の社内ネットワーク内に留まり、クラウドへの送信は発生しません。自動車業界の機密性要件に対応しています。

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