多品種少量生産の検査が自動化されない理由
工場の自動化が進む中、外観検査の自動化だけが取り残されている現場は少なくありません。特に多品種少量生産のラインでは、「AIを入れたいが、現実的に無理」と感じている品質管理担当者が多いのが実情です。
なぜ多品種少量生産では、AI外観検査の導入が難しいのか。その理由は大きく3つあります。
理由1:品種ごとに大量の学習データが必要
従来のDeep Learning型AI検査は、品種ごとに数百〜数千枚の学習用画像を用意する必要があります。10品種なら数千枚、100品種なら数万枚。多品種であればあるほど、データ収集のコストと時間が爆発的に増加します。
しかも、不良品の画像はそもそも少ない。良品はいくらでも撮れますが、NG画像を品種ごとに十分な数だけ集めるのは、現実にはほぼ不可能です。
理由2:品種切替のたびに再設定が必要
ルールベースの画像処理で自動化しても、品種が変わるたびに検査パラメータの再設定が必要です。色の基準、形状の閾値、照明条件 — すべてを品種ごとに調整する手間がかかります。
1日に何度も品種が切り替わるラインでは、設定変更の時間がそのまま生産停止時間になります。この切替コストを考えると、「結局、人が見たほうが早い」という結論になりがちです。
理由3:投資対効果が合わない
大量生産ラインなら、1つのAIモデルで数百万個の検査を回せるため、初期投資を回収しやすい。一方、少量多品種では1品種あたりの生産数が少ないため、品種ごとのAI構築費用を回収するのが難しく、ROIが見合わないと判断されがちです。
VLMが多品種検査の課題をどう解決するか
VLM(Vision Language Model)は、画像認識と自然言語理解を統合した新しいAI技術です。Nsightでは、VLMを検査そのものに使うのではなく、検査システム構築の効率化ツールとして活用しています。
解決策1:アノテーション自動化で学習コストを90%削減
従来は人手で1枚ずつ「ここが傷」「ここがOK」とラベル付けしていたアノテーション作業を、VLMが自動化します。ブラウザ画面でOK/NGをクリックするだけで、AIの学習データが自動生成されます。
これにより、品種追加に必要な工数を従来の1/10以下に圧縮できます。
解決策2:NG画像の自動生成で「データ不足」を解消
多品種生産では、品種ごとのNG画像が十分に集まらない問題があります。VLMはOK画像から不良パターンをシミュレーションし、学習用のNG画像を自動生成します。
実際のNG品がなくても、AIが「こういう不良があり得る」と推定して疑似データを作るため、少量の実データから高精度なモデルを構築できます。
解決策3:ハイブリッド構成で精度と速度を両立
Nsightのアプローチは、VLMだけで検査するわけではありません。検査本体はルールベースと従来AIのハイブリッド構成で、VLMは「学習の効率化」に特化しています。
・ルールベース → 高速・安定な判定(色差、寸法、形状)
・従来AI → 複雑な不良パターンの検出
・VLM → アノテーション自動化+NG画像生成(学習効率化)
この構成により、多品種に対応しながら、ライン速度に追従するリアルタイム検査を実現しています。
導入事例:多品種対応で検査コストを削減
化粧品工場(30品種以上)
パッケージの印刷品質・ラベル貼付位置の検査を自動化。品種追加のたびに数週間かかっていたAI学習が、VLMの活用により1〜2日で完了するようになりました。
鉄鋼工場(H形鋼の表面検査)
鋼材の表面傷・スケール検査を自動化。製品サイズのバリエーションが多い中、VLMによるアノテーション自動化で学習工数を80%削減しました。
まとめ
多品種少量生産で外観検査の自動化が進まない最大の原因は、品種ごとの学習コストです。VLMを活用したNsightのハイブリッドアプローチは、このコスト構造を根本から変え、多品種でもROIが合う検査自動化を可能にします。
「うちは品種が多すぎてAIは無理」と思っている方こそ、まずはサンプル画像での無料検証をお試しください。